図面ファイル命名規則|案件・版・日付
· 編集:KMC株式会社
図面ファイルの命名規則を、案件番号、図面番号、版、日付の順で解説します。作業名と提出名の分離、禁止文字、移行手順も紹介します。
命名規則は開かずに識別するために作る
図面ファイル名の目的は、見栄えをそろえることではありません。案件、図面の種類、対象、版、状態をファイルを開かずに判別し、検索と誤送付を助けることです。長い説明をすべて名前へ入れると、入力揺れとパス長の問題が増えます。変わりにくい識別子を名前へ、担当者や承認状態など変わりやすい情報を台帳や属性へ分けます。
Autodesk Docsの命名標準は、属性を決めた順番で組み合わせ、関連属性としてStatus、Revision、Classificationを設定できると案内しています。ISO 19650テンプレートも提供されていますが、この記事の命名例は小規模な日本の設計事務所向けに簡略化した独自運用例です。
基本形と記録例
基本形は 案件番号_図面番号_短い名称_版.拡張子 とします。
S014_A-201_1F平面_C03.pdf
| 要素 | 例 | 決め方 |
|---|---|---|
| 案件番号 | S014 | 顧客名が変わっても維持する一意の番号 |
| 図面番号 | A-201 | 図面リストと一致させる |
| 短い名称 | 1F平面 | 検索に必要な範囲へ固定する |
| 版 | C03 | 版体系の意味を別表で定義する |
| 拡張子 | 実際のファイル形式 |
日付を入れる場合は 20261013 のように桁を固定し、年月日の順にします。ただし日付と版の両方が同じ役割を持つと不一致が生じます。日付は発行日、版は改訂順序など、意味を分けてください。
作業名と外部提出名を分ける
設計中のファイルは参照関係やアプリの制約を受けます。提出先は指定の図面番号、案件名、日付を求めることがあります。一つの名称で両方に合わせようとせず、内部の作業名と発行時の提出名を分けます。
| 用途 | 名前の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 作業元 | S014_A-201_1F平面_C03.dwg | 参照先と同じ規則で管理 |
| 社内確認PDF | S014_A-201_1F平面_C03_CHECK.pdf | 確認中の場所と権限も分ける |
| 顧客発行PDF | S014_A-201_1F平面_C03.pdf | 発行台帳へ記録 |
| 一括提出ZIP | S014_実施設計図_C03_20261013.zip | 中身の図面リストを同梱 |
CHECKを外しただけで発行済みにしないことが重要です。確認完了、PDF出力点検、承認、台帳登録を経て、発行担当者が提出名を書き出します。
版の文字へ意味を持たせすぎない
版を A案、B案の比較案と混同すると、採用後の改訂順が読めなくなります。比較案には案ID、改訂には版を使います。たとえば PLAN-A_C02 はA案の第2改訂、PLAN-B_C01 はB案の初版です。採用案が決まった後は、採用した案IDを台帳へ残し、発行版の規則へ移します。
版記号の意味は事務所だけで決めず、協力者と共有します。基本設計と実施設計で番号を戻すか、通しにするか、発行後の軽微な訂正をどう扱うかを案件開始時に決めます。法的な提出物や顧客指定がある場合は、その条件を優先します。
使わない文字と表現
Microsoftの公式情報では、OneDriveとSharePointのファイル名で使用できない文字として引用符、アスタリスク、コロン、山括弧、疑問符、スラッシュ、バックスラッシュ、縦線が挙げられ、先頭末尾の空白も認められていません。利用サービス、OS、連携アプリにより条件は異なるため、導入先の現行仕様を確認します。
社内規則では、次も避けると運用が安定します。
| 避ける名前 | 理由 | 置き換え |
|---|---|---|
| 最終、最終2、本当の最終 | 順番と承認が分からない | 規則化した版と状態 |
| 新しい平面図 | 時間がたつと意味を失う | 図面番号と版 |
| 田中修正 | 担当者と変更内容が混ざる | 版台帳へ変更者を記録 |
| 顧客名だけ | 同じ顧客の複数案件が混ざる | 案件番号を先頭に置く |
命名表を一枚にする
規則書を長くするより、実際に選ぶ値を表にします。
| 欄 | 許可例 | 禁止例 | 管理者 |
|---|---|---|---|
| 案件番号 | S001から連番 | 担当者の頭文字だけ | 案件管理者 |
| 図面種別 | A、S、M、E | 自由入力の日本語略称 | 設計責任者 |
| 図面番号 | 図面リスト記載値 | 同一案件内の重複 | 図面担当 |
| 版 | C01から連番 | 最終、最新版 | 案件責任者 |
| 区切り | アンダースコア | 空白と複数記号の混在 | システム管理者 |
例外が出たら個人判断で名前を崩さず、命名表へ例外理由と適用範囲を加えます。提出先指定の名称は、内部正本との対応表を発行台帳へ残します。
既存ファイルを安全に改名する手順
まず一案件を対象に、参照ファイル、外部リンク、共有URL、発行記録を洗い出します。次に旧名と新名の対応表を作り、重複がないか検査します。CAD、BIM、画像、表計算を代表端末で開き、参照切れや同期エラーを確認します。共有済みURLが名前変更で無効になる製品もあるため、外部共有の再発行要否を確かめます。
一括改名は作業中の案件でいきなり行いません。完了案件のコピーまたは検証領域で試し、元へ戻す手順を用意します。改名後は旧保存先を読み取り専用にし、担当者が旧名のファイルを再投入しないよう周知します。
外部から届いた名前は原名と管理名を分ける
協力者から 平面図修正.pdf のようなファイルを受け取っても、受領原本を直接改名して由来を消しません。原名、送信者、受領日時、メール件名を受領台帳へ残し、作業用コピーへ事務所の管理名を付けます。
| 原名 | 内部管理名 | 対応記録 |
|---|---|---|
| 平面図修正.pdf | S014_A-201_1F平面_RCV01.pdf | 構造Dから10月13日受領、内容未確認 |
| 1013設備回答.pdf | S014_E-211_照明計画_RCV02.pdf | 設備Eの回答メールに対応 |
移行試験では、旧名で検索して対応表から新名へ到達できるか、CADの参照が切れないか、共有済みURLが無効にならないかを確認します。一つでも戻せない場合は本番改名を止め、対応表か移行方法を修正します。
失敗を見つける月次点検
命名規則に合わないファイル、重複図面番号、版の逆転、CHECKのまま発行済み領域にある資料、個人名だけのファイルを抽出します。違反件数だけを評価せず、規則が現場に合っていない理由を見ます。設備協力者から受領する名称を変更できない場合は、受領原本を保ち、内部管理名との対応表を作る方が安全です。
AIにファイル名候補を作らせる場合も、顧客名や住所を入力する必要性を点検し、候補を命名表で検証します。自動改名は参照切れを起こし得るため、確認なしで正本へ適用しません。
よくある質問
日本語のファイル名は使えますか
利用するサービスと連携先で扱えるか確認します。協力者の環境や長いパスも考え、短い固定語にそろえる運用が安全です。
ファイル名に顧客名を入れるべきですか
誤送付時の露出や名称変更を考え、案件番号を基本にします。顧客名が必要なら略称表を管理し、正式名は台帳で持ちます。
版は数字だけでよいですか
数字だけでも運用できます。重要なのは開始値、増やす条件、比較案との区別、発行後の訂正方法が共有されていることです。
フォルダ名にも同じ規則を使いますか
案件番号など共通要素はそろえますが、フォルダは状態や業務区分、ファイルは図面識別を担います。役割まで同じにする必要はありません。
AIで命名違反を点検できますか
一覧から規則外候補を抽出する用途は考えられます。自動改名は行わず、参照関係と発行記録を担当者が確認します。AI情報管理の記事も参照してください。
出典・参考資料
関連記事
この業務でAIを試すには
業務の条件と確認方法を整えたら、関連するAI活用の手順を確認できます。
図面比較にAIを使う前に|差分と見落としの確認 →