設計事務所のAI情報管理|図面・顧客資料の扱い方
· 編集:KMC株式会社
設計事務所がAIを使う前に決める情報管理を解説。図面、顧客情報、見積の分類、匿名化、アクセス権、出力確認、事故対応を整理します。
AI情報管理は「何を、どこへ、誰が」を先に決める
設計事務所の資料には、氏名や連絡先だけでなく、住所、地番、建物図面、セキュリティ設備、見積、契約、未公開計画が含まれます。AI利用を一律禁止または自由化するのではなく、情報区分、利用できるサービス、入力目的、確認者、保存先を決めます。便利な機能を見つけてから規則を考えると、すでに資料が複数サービスへ散らばっている状態になります。
4区分で入力可否を判断する
| 区分 | 例 | 基本対応 |
|---|---|---|
| 公開情報 | 自社Web、公開法令、一般仕様 | 出典と更新日を確認して利用 |
| 社内情報 | 標準書式、一般的な手順 | 許可サービスと権限内で利用 |
| 顧客機密 | 図面、見積、未公開計画 | 契約・規程・提供条件を確認 |
| 個人情報 | 氏名、住所、電話、顔写真 | 必要性を精査し最小化 |
同じ図面でも、公開済みパンフレットと、入退室設備が記載された実施設計図では扱いが違います。ファイル単位ではなく、含まれる情報と利用目的で判断します。
匿名化は表題欄以外も見る
匿名化チェックは、顧客名、物件名、住所、地番、電話、メール、ロゴ、印影、顔、車両番号、図面表題欄、PDFプロパティ、ファイル名を対象にします。周辺地図、固有の施設名、航空写真から場所が分かることもあります。黒い図形を重ねただけのPDFは、文字をコピーできる場合があるため、処理後のファイルを実際に検索します。
匿名化後の入力例:案件S-014、事務所改修、延床約300平方メートル。室名と寸法のみを残した検証用平面図。顧客名、所在地、表題欄、設備詳細は削除。目的は室別面積表の作成可否を試すこと。
サービス確認票を作る
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 契約主体 | 個人契約か法人契約か |
| データ利用 | 入力が学習や品質改善に使われる条件 |
| 保存 | 保存地域、期間、削除方法 |
| アクセス | 管理者、利用者、外部共有 |
| 認証 | 多要素認証、退職者の停止手順 |
| 出力 | 誰が原資料と照合するか |
| 事故 | 連絡先、初動、顧客報告の判断者 |
利用規約や設定は変わる可能性があるため、確認日と確認者を残します。営業説明だけでなく、契約文書と管理画面で確認します。
案件で使う手順
- 利用目的を「議事録の分類」「図面からの数量整理」のように限定します。
- 入力資料を4区分で棚卸しし、不要な情報を除きます。
- 利用許可されたサービスとアカウントを選びます。
- 入力日、案件番号、資料の版、実行者を記録します。
- 出力を原資料と照合し、確認者と修正内容を残します。
- 承認済み成果物を所定の案件フォルダへ保存します。
- 不要な共有リンク、一時ファイル、権限を終了時に確認します。
出力側にも情報リスクがある
AIが別案件の情報を出したように見える場合、まず入力履歴、参照資料、テンプレートの残存を確認します。生成文章に実在しない会社名、価格、製品名が追加されることもあります。顧客へ送る前に、固有名詞、数値、図面番号、日付を抽出して原資料と照合します。
| 出力確認 | 担当 |
|---|---|
| 顧客名・案件名 | 窓口担当 |
| 面積・数量・金額 | 設計・積算担当 |
| 法規・技術条件 | 有資格者・担当者 |
| 契約上の表現 | 案件責任者 |
| 送付版と添付 | 送信者と承認者 |
事故時の初動を短い手順にする
誤った資料を入力した、共有先を間違えた、不審なアクセスがあった場合は、自己判断で履歴を消して終わらせません。利用を止め、管理者へ連絡し、対象資料、時刻、サービス、操作、共有範囲を記録します。管理者はアカウント停止、共有解除、サービス事業者への連絡、顧客・関係者への報告要否を判断します。
IPAの中小企業向け情報セキュリティ対策ガイドラインは、経営者の指針と社内で対策を実践する手順を示し、資産管理台帳やクラウド安全利用の手引きも提供しています。設計事務所のAI規程も、方針だけでなく現場が使える確認票へ落とします。
PattoAIのデモ前に確認する情報
PattoAIの公開機能では、図面や過去の実行予算書・見積書を使う導入過程が案内されています。一般設計のプラン生成とは分け、デモ前に対象図面、用途、匿名化の可否、提供方法、保存、削除、権限、出力確認を確認します。PattoAIの活用相談には、最初から機密資料を添付せず、必要資料と受渡し方法を先に相談します。
よくある質問
社名と住所を消せば図面を入力できますか
それだけでは判断できません。地番、周辺地図、表題欄、設備情報、ファイル名なども確認し、契約と社内規程、サービスのデータ条件に照らします。
AIの出力はどこに保存すべきですか
個人のダウンロードフォルダへ放置せず、案件番号、版、確認状態が分かる所定の保存先へ移します。下書きと顧客送付済みを区別し、閲覧権限を案件に合わせます。
参考資料
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資産管理台帳にAI利用欄を加える
新しい台帳を別に作るより、既存の案件資料台帳へAI利用の有無、サービス名、入力目的、入力日、実行者、資料版、出力保存先、削除確認日を加えると追跡しやすくなります。図面を丸ごと渡したのか、必要なページだけかも記録します。
| 台帳欄 | 記入例 |
|---|---|
| 案件番号 | S-014 |
| 資料 | 平面図の検証用抜粋、2026年10月版 |
| 目的 | 室別面積表の下書き |
| 加工 | 表題欄、所在地、設備詳細を削除 |
| 確認者 | 設計担当A |
| 出力先 | 案件内のAI確認中フォルダ |
| 終了確認 | 共有解除、不要ファイル削除済み |
この記録は監視のためではなく、顧客から質問されたときに、何をどの目的で扱ったか説明するために使います。
退職・異動・外部協力者の権限を管理する
法人アカウントを使っていても、利用者一覧が放置されれば安全とは言えません。入社・異動・退職時の追加と停止、外部協力者の終了日、共有リンクの期限を決めます。個人アカウントへの資料移動を避け、管理者が利用者と請求を確認できる構成にします。
月次では、休眠アカウント、管理者権限、多要素認証、公開リンク、外部共有、保存中の検証資料を確認します。重大な設定変更は、変更者と日付を残します。
端末紛失やアカウント侵害に備え、端末ロック、更新、バックアップ、復旧連絡先もAI利用と切り離さず確認します。入力データだけを守っても、出力を保存した端末や共有フォルダが無防備なら情報は保護できません。外出先で作業する場合の通信と画面表示のルールも決めます。
PATTO AI DEMO
自社案件での活用を相談
概算や初期提案の進め方を整理し、PattoAIを活用できる範囲を一緒に確認します。