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EDRとUTMは何が違う?設計事務所のウイルス対策の組み方

· 編集:KMC株式会社

EDRとUTMの違いを、設計事務所のPC・NAS・VPNの構成に当てはめて解説します。ウイルス対策ソフトとの役割分担、少人数で警告を見る体制、導入前に確認する観点を整理します。

EDRは端末の中、UTMは出入口を守る

EDRとUTMの違いは、守る場所です。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」は、EDR(Endpoint Detection and Response)を、パソコンやサーバー、スマートフォンなどの端末に侵入したウイルスやランサムウェアなどのサイバー攻撃を検出し、管理者に通知する技術と説明しています。UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)は、ファイアウォール、侵入検知・防御、メールやURLのフィルタリングなど複数の機能を一つの機器にまとめ、社内ネットワークとインターネットの境目で脅威を検知・防御するものです。

ウイルス対策ソフトは、既知のウイルスを検知・駆除して感染を防ぐ対策で、IPAの「情報セキュリティ6か条」でも導入と定義ファイルの更新が求められています。三つは置き換えるものではなく、役割の違う層です。設計事務所では、CADやBIMを動かすPC、図面を集めるNAS、現場や自宅から入るVPNのどこを守るかで組み合わせを決めます。

三つの対策の違いを一枚で比べる

項目ウイルス対策ソフトEDRUTM
置き場所各PC・サーバー各PC・サーバー・スマホ事務所のネットワークの出入口
主な役割既知のウイルスを見つけて止める侵入後の怪しい動きを見つけて知らせる外部との通信を検査し、不要な通信を遮る
設計事務所で守るもの作業用PCのファイルPC、NAS以外のサーバー、持ち出しPC事務所内のNAS、複合機、全端末の通信
運用で必要なこと定義ファイルの更新警告を見て判断する人や窓口設定の見直し、機器の更新
事務所の外での効き方端末に入っていれば効く端末に入っていれば効く事務所の外にいる端末には直接は効かない

最後の行が、選ぶうえでの分かれ目です。現場調査や在宅で持ち出すノートPCが多い事務所では、出入口の機器だけでは守り切れません。逆に、図面を事務所内のNASに集めている場合、外部からNASへ届く通信を出入口で絞る意味は大きくなります。

設計事務所の構成に当てはめる

設計事務所でよくある構成を三つに分けて考えます。

構成主な弱点優先して検討する対策
事務所内NASに図面を集約し、外からVPNで入るVPN機器とNASが外部から狙われるVPN機器の更新と多要素認証、出入口での通信制限
図面はクラウド中心、各自がノートPCで作業持ち出しPCと各自のアカウント全PCのウイルス対策とEDR、アカウントの多要素認証
両方が混在し、現場写真もタブレットで共有管理の抜け漏れ端末の一覧化、スマホ・タブレットの管理

警察庁の「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」は、令和7年のランサムウェア被害の侵入経路としてVPN機器が6割以上を占めたと報告し、インターネットに露出した箇所から遠隔操作で侵入する手口が多くを占め、メールの添付ファイルによる感染は少なくなっていると説明しています。出入口の機器を置いていても、VPN機器そのもののぜい弱性が修正されていなければ入口になります。機器の更新は、UTMやEDRの導入より先に確認する事項です。

少人数の事務所で一番の課題は「警告を誰が見るか」

EDRは、怪しい動きを見つけて管理者へ知らせる仕組みです。知らせを受けた人が判断し、端末をネットワークから切り離すなどの対応をして初めて意味があります。専任の情報担当がいない事務所では、次のどれにするかを最初に決めます。

  1. 事務所内の担当者が通知を受け、決めた手順で対応する。
  2. 監視と初動の助言を外部の事業者に任せる。
  3. 両方を組み合わせ、夜間や休日だけ外部に任せる。

IPAは、中小企業向けに相談窓口、異常の監視、緊急時の駆け付け、保険などを一つにまとめて民間事業者が提供する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を紹介しており、監視の方式としてネットワーク監視、端末監視、その併用の三種類を挙げています。こうした一体型のサービスも、比較の候補に入れられます。

導入前に確認する観点

特定の製品は勧めませんが、比較のときは次の観点で見積と説明を受けます。

確認する観点設計事務所で見る理由
CAD・BIMソフトとの相性検査の処理が重いと作業が遅くなることがある。試用期間に実データで確認する
大きなファイルの通信BIMモデルや点群データの送受信を出入口の機器が処理しきれるか
警告の届き方誰に、どの手段で、どの言葉で届くか。専門用語だけの通知では判断できない
初動の支援範囲端末の切り離し、調査、復旧のどこまでが料金に含まれるか
契約の単位台数、期間、更新費用。持ち出しPCやスマホも数に入るか
ログの保管事故のときに調べられる期間、記録が残るか

製品の性能表だけで決めず、一案件分の作業(図面を開く、PDFを書き出す、外注先とファイルをやり取りする)を試用中に通してみると、業務への影響が分かります。

事務所に入れる順番の目安

すべてを一度にそろえる必要はありません。次の順番で、足りない層を足していきます。

  1. OSとソフト、VPN機器などのネットワーク機器を最新の状態にする。
  2. 全PCにウイルス対策ソフトを入れ、定義ファイルが自動で更新されているか確認する。
  3. メール、クラウド、VPNの多要素認証を設定する。
  4. 復元できるバックアップを用意する。
  5. 端末の構成と警告を見る体制に合わせて、EDR、UTM、監視サービスを検討する。

IPAの「情報セキュリティ6か条」の解説編は、ウイルス対策ソフトは新種のウイルスを検知できない場合があり、ウイルスでファイルやシステム環境が壊されるとウイルス対策ソフトだけでは元に戻せないため、バックアップによる復旧対策も必要だと説明しています。EDRやUTMを入れても、バックアップと更新の基本が抜けていれば被害は止まりません。

導入後の点検表

点検項目確認すること
対象の漏れ新しく買ったPC、持ち出しPC、タブレットに入っているか
更新定義ファイルや機器の更新が止まっていないか
警告の記録月に何件届き、誰がどう判断したか
除外設定作業を速くするための除外が広すぎないか
契約更新日、台数、支援範囲が今の体制に合っているか

除外設定は特に注意が要ります。CADの動作が遅いという理由で図面フォルダ全体を検査対象から外すと、図面を暗号化する攻撃を見落とす可能性があります。除外が必要なら範囲を狭め、決めた人と理由を残します。

よくある質問

ウイルス対策ソフトがあればEDRは不要ですか

役割が違います。ウイルス対策ソフトは既知のウイルスを止める対策で、EDRは侵入された後の動きを見つけて知らせる対策です。警告を見て動ける体制があるかを含めて判断します。

UTMを置けば在宅勤務のPCも守れますか

事務所の出入口を通る通信が対象です。自宅や現場から直接インターネットへ出る通信は通らないため、端末側の対策が別に必要です。

小さな事務所でも監視サービスは必要ですか

警告を見て判断できる人がいるかどうかで変わります。いない場合は、監視や初動の支援を外部に頼むことを検討します。

出典・参考

比較表と導入順は、上記の公的資料をもとに設計事務所向けに整理した考え方です。製品ごとの機能と料金は提供元の最新情報で確認してください。

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