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設計事務所の社内FAQにAIを使う|資料の選び方

· 編集:KMC株式会社

設計事務所の社内FAQをAIで検索・回答する際に、正本資料、版、権限、出典、分からないと答える条件を決め、回答精度を試す手順を解説します。

社内FAQの品質はAIより参照資料で決まる

設計事務所の共有フォルダには、標準図、作業手順、過去案件の判断、ソフトの操作メモが混在します。AI検索をつなぐだけでは、古い版や他案件固有の条件をもっともらしく回答することがあります。最初に「何を正本として答えるか」「答えてはいけない質問は何か」「出典がないときどう返すか」を決めます。

RAGは、質問に関連する社内資料を検索し、その内容をAIの回答根拠に加える仕組みです。検索で見つかった資料が正しいとは限らないため、出典表示とアクセス権、更新運用が必要です。

FAQに入れる資料と入れない資料

最初から全案件フォルダを対象にしません。更新責任者が決まり、複数人が繰り返し使う資料から始めます。

資料区分対象例登録条件
社内標準命名規則、レビュー手順、テンプレート正本、更新者、適用範囲が明確
製品手順CADやクラウドの社内設定対象版、確認日、公式出典がある
案件共通知識顧客を特定しない確認手順個別条件を除き責任者が承認
過去案件判断経緯、図面、見積原則は対象外、利用目的と権限を限定
法規・制度法令、行政資料最新性と専門家確認が必要、FAQで確定しない

顧客図面、見積、契約、個人情報を横断検索へ入れると、質問者が元資料を開けなくても回答から内容を知る危険があります。検索時に元資料と同じ権限を適用できるか、検証環境で確認します。

正本資料へ七つの情報を付ける

ファイル名だけでは、AIも利用者も適用範囲を判断できません。資料ごとに次を持たせます。

  1. 正式名称と文書ID
  2. 版と施行日
  3. 適用する業務、案件種別、ソフト版
  4. 作成者と承認者
  5. 更新責任者と次回確認日
  6. 置き換えた旧版
  7. 閲覧できる役割

旧版は検索対象から外し、監査用の保管場所へ移します。新旧が同時に検索される状態では、AIが内容を混ぜることがあります。最新版がない場合は、「正本未登録」と答える方が安全です。

回答には出典と確度を必須にする

MicrosoftのRAG解説では、検索した内容を根拠としてモデルへ渡し、引用を付けられる一方、検索結果が不十分なら不正確な回答が残ると説明しています。Google DriveのGemini検索では、対象のGoogle WorkspaceまたはGoogle AIプランで、AI回答のインライン引用から元ファイルを確認できます。利用可能なプランと管理設定は導入時に確認します。引用が表示されても、その資料が正本かは組織側で管理します。

回答欄内容利用者の行動
短い回答資料に明記された範囲だけ手順の入口として読む
出典文書名、版、該当見出し、リンク原文を開く
適用範囲対象業務、ソフト版、例外自分の案件に合うか判断
確度明記、関連記載、資料なし明記以外は確認する
更新情報確認日、責任者古い場合は問い合わせる

「一般には」「おそらく」で補わず、資料にない場合は「登録資料では確認できません」と返します。法規、構造、設備、契約、費用の判断はFAQだけで確定させず、担当者と一次資料へつなぎます。

匿名の質問とプロンプト例

社内FAQは、登録された正本資料だけを根拠に回答してください。回答、出典文書ID、版、該当見出し、適用範囲、確認日を表示してください。複数資料が矛盾する場合は統合せず両方を示し、更新責任者への確認が必要と答えてください。資料に記載がない内容、法適合、設計判断、案件固有の推測は回答しないでください。

テスト質問は「図面ファイル名に何を含めるか」のような標準手順、「旧版ではどう書いていたか」のような対象外質問、「案件Sの避難計画は適合するか」のような回答禁止質問を混ぜます。正しい質問だけで試すと、答えない能力を評価できません。

小さな資料群で検索を試す

最初は一つの業務に絞り、正本10件程度など管理できる範囲で試します。本数を成果にせず、質問と期待する出典を先に作ります。

  1. 対象業務と利用者を決めます。
  2. 正本、旧版、対象外資料を分けます。
  3. 質問ごとに期待する回答、出典、拒否条件を記録します。
  4. 表記揺れ、略称、誤字を含む質問で検索します。
  5. 元資料を閲覧できない利用者で権限を試します。
  6. 誤答、出典漏れ、検索漏れを記録します。
  7. 資料、索引、指示のどこを直すか分けます。

正答率だけでなく、正しい出典へ到達できた割合、資料なしと答えるべき質問で答えなかった割合、権限外情報を返さないことを見ます。

よくある失敗と修正

古い版を答える場合は、プロンプトより先に検索対象と版管理を直します。関係ない資料を引用する場合は、一ファイルが長すぎないか、見出しと文書IDが付いているかを確認します。出典なしで一般論を答える場合は、回答条件を「出典が取得できた場合だけ」にします。

一つの質問に多数の資料が出る場合は、業務、対象ソフト、案件種別、日付で絞れる項目を索引へ加えます。質問者の権限外資料が引用された場合は試行を止め、検索時のアクセス制御を見直します。

運用開始後の更新

FAQ画面で直接文章を直して正本と分離させるのではなく、元文書を更新し、再登録します。回答への評価は、便利だったかだけでなく、「出典が違う」「版が古い」「質問の意味を誤った」の分類で集めます。

月次または資料改訂時に、期限切れ、責任者不在、旧版混入、閲覧権限を確認します。退職者や外部協力者のアクセス停止も、AI情報管理と合わせて行います。

FAQで答えず人へ渡す基準

顧客ごとの契約解釈、設計責任を伴う判断、法規への適合、構造や設備の安全判断、見積金額の確定は、社内FAQの文章だけで決めません。FAQは担当部署、必要資料、確認手順を案内するところまでにします。

「分からない」を失敗とみなすと、AIは何かを答える方向に評価されます。根拠がない、資料が矛盾する、権限がない、質問が曖昧という四つの停止条件を合格基準へ入れます。

よくある質問

過去案件を全部入れると回答が豊かになりますか

案件固有条件と機密情報が混ざり、誤適用の範囲も広がります。まず承認済みの共通手順から始め、過去案件は目的と権限を限定します。

RAGを使えば誤回答はなくなりますか

なくなりません。検索漏れ、古い資料、関連性の低い資料、回答生成の誤りがあり得ます。出典を開いて確認できる運用が必要です。

PDFのまま登録してよいですか

検索できる文字、見出し、版情報が取得できるかを試します。画像だけのPDFはOCRの誤りを確認し、原本へのリンクを残します。

公式マニュアルと社内手順が違う場合はどうしますか

両方の適用範囲を示します。製品の操作仕様は公式資料、事務所固有の運用は承認済み社内資料を根拠にし、矛盾は更新責任者へ回します。

利用者の質問履歴も管理対象ですか

質問に案件名や顧客情報が含まれる可能性があります。保存、閲覧、利用目的、削除の条件をサービス設定と社内規程で確認します。

参考資料

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