初回相談から提案まで|設計事務所の進め方
· 編集:KMC株式会社
建築の初回相談から次回提案までの標準フローを解説。受付、ヒアリング、社内引継ぎ、初期検討、概算、承認の役割分担を整理します。
初回相談の品質は相談後の受渡しで決まる
丁寧に話を聞いても、設計、概算、提案資料の担当へ条件が正しく渡らなければ手戻りが起きます。初回相談から提案までを、受付、準備、面談、整理、検討、承認、送付の7段階に分け、各工程の入力、成果物、責任者を決めます。小規模事務所で一人が複数役を担う場合も、役割を分けて確認します。
7段階の標準フロー
| 工程 | 主担当 | 成果物 | 完了条件 |
|---|---|---|---|
| 受付 | 窓口 | 案件基本票 | 目的、期限、連絡先が分かる |
| 事前準備 | 営業・設計 | 質問票、資料一覧 | 既知情報と空欄を分けた |
| 初回相談 | 案件担当 | 相談記録 | 事実、希望、宿題を分類した |
| 社内整理 | 案件担当 | 案件要約、未確認表 | 担当と期限を付けた |
| 初期検討 | 設計・積算 | 比較案、概算前提 | 同じ条件で比較した |
| 承認 | 責任者 | 顧客送付版 | 図、数値、表現を確認した |
| 提案・送付 | 窓口 | 議事記録、次回予定 | 判断と次の行動を合意した |
受付で相談の種類を分ける
「費用を知りたい」という連絡でも、土地購入、融資、社内稟議、設計者選定では必要な回答が違います。受付では、何をいつ判断したいか、手元に何があるか、次回誰が見るかを聞きます。
受付例:候補地購入前の相談。役員会は3週間後。販売図面と現況写真あり、測量図なし。役員会では必要面積が収まる可能性と、総事業費で確認すべき範囲を見たい。最終決裁者は代表者。
この情報があれば、完成パースより、配置の比較、面積表、概算範囲表を優先できます。
面談中は決定と発言を分ける
相談記録は発言順ではなく、計画目的、利用者、空間、敷地、予算、時期、意思決定の見出しで整理します。「必ず必要」「できれば」「設計側の仮定」「未確認」を区別し、面談の最後に要約して読み合わせます。
面談終了前に、受領資料、追加で依頼する資料、次回に設計事務所が出すもの、次回日程を確認します。次回成果物の深さを合意しないと、依頼者は確定案を期待し、設計側はたたき台のつもりというずれが生まれます。
社内引継ぎは一枚要約で始める
| 項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 相談目的 | 役員会で候補地検討を継続するか判断 |
| 最優先 | 必要席数と来客動線 |
| 確定資料 | 販売図面、現況写真 |
| 未確認 | 境界、高低差、インフラ、予算範囲 |
| 次回成果物 | 配置2案、面積比較、概算範囲表 |
| 担当 | 設計A、概算B、承認C |
| 期限 | 社内確認日、顧客提案日 |
詳細議事録は参照資料として残し、作業開始時は一枚要約を読みます。条件が更新されたら日付と変更者を残し、古い版から作業しないようにします。
設計と概算を並行させる受渡し
初期プラン担当は、用途、必要室、面積、動線、固定条件を渡します。概算担当は、図面の版、構造・仕様の仮定、含む工事、除外、単価時点、不足資料を返します。日建連の資料が示すように、初期段階は提示資料不足によりコスト妥当性の判断が難しくなるため、金額より前提表を先に共有します。
| 設計から渡す | 概算から返す |
|---|---|
| 図面版、面積表 | 使用した図面版 |
| 採用案と比較案 | 算定対象と除外 |
| 仕様の仮定 | 単価根拠と時点 |
| 未確認事項 | 金額へ影響する条件 |
承認と送付を別工程にする
作成者がそのまま送信せず、案件責任者が顧客名、図面版、面積、金額、前提、約束、日程を確認します。送付担当は添付ファイル名と送付版を確認し、編集途中の資料を添付しないようにします。提案後は質問と決定を記録し、次版の入力条件へ戻します。
運用チェック表
| 確認 | 基準 |
|---|---|
| 受付 | 判断目的と期限がある |
| 相談 | 事実、希望、仮定を分けた |
| 資料 | 受領済みと不足が分かる |
| 引継ぎ | 担当と期限がある |
| 比較 | 評価軸を統一した |
| 概算 | 範囲と除外を記載した |
| 承認 | 作成者以外が重要項目を確認した |
| 提案後 | 決定と宿題を次版へ反映した |
PattoAIを組み込む位置
PattoAIの公開機能は、建設会社向けの図面読取、数量積算、実行予算書、見積書作成支援です。初回相談全体を自動化するのではなく、確認済み図面から概算準備へ渡す工程で、対象工種、社内書式、確認者を決めて適合性を見ます。一般設計のプラン生成、法適合、確定価格を前提にしません。
PattoAIの活用相談では、現在のフロー、図面、過去成果物、欲しい出力を示し、どの工程に組み込めるかを確認します。
よくある質問
初回相談から提案まで何日が適切ですか
案件目的と必要な調査で変わります。日数を一律に決めるより、次回判断に必要な成果物、資料の入手日、社内確認日を置き、逆算して顧客と合意します。
小規模事務所でも役割分担は必要ですか
一人が複数役を担っても、作成と確認を工程として分けます。翌日に原資料と照合する、重要数値だけ別担当が見るなど、独立した確認点を設けます。
参考資料
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期限が短い相談は成果物を段階化する
役員会や土地申込まで数日しかない場合、すべてを急いで確定させようとせず、第一回答と追加調査を分けます。第一回答では、受領資料で分かること、判断を止める不足情報、成立可能性を比べるための案、概算で含める範囲を示します。境界、行政条件、設備、地盤など未確認事項は、調査日程と影響先を記載します。
| 段階 | 成果物 | 説明 |
|---|---|---|
| 第一回答 | 条件表、簡易配置、面積比較 | 受領資料による検討 |
| 追加調査後 | 更新案、概算前提表 | 確認済み条件を反映 |
| 基本計画 | 選定案、技術検討、更新概算 | 契約範囲に基づく |
段階を明示すると、短納期でも未確認条件を隠さず、顧客が次の費用と時間を判断できます。
問い合わせを断る・保留する基準も決める
希望期限に必要な確認ができない、依頼範囲と責任が合わない、資料提供の権限が不明、専門外の判断が必要な場合は、受任前に説明します。断る場合も、確認できない理由、相談可能な範囲、必要なら適切な専門家への相談事項を伝えます。
無理に初回提案へ進めると、曖昧な金額や成立しない案が残ります。案件化率だけでなく、受任後の手戻り、訂正、担当者負荷も記録し、受付基準を見直します。
相談を保留した案件も、理由と再開条件を記録します。「測量図を受領したら配置検討を再開」「決裁者が参加できる日程で予算範囲を確認」のように、次の入口を具体化します。担当者の記憶だけに置かず、連絡予定日と窓口を案件票へ残します。
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概算や初期提案の進め方を整理し、PattoAIを活用できる範囲を一緒に確認します。