初回提案資料|設計事務所の構成と作り方
· 編集:KMC株式会社
建築の初回提案資料を、判断しやすい順序で作る方法を解説。ページ構成、比較表、概算の前提、未確認事項、送付前チェックを掲載します。
初回提案資料は相手が次の判断をするために作る
初回提案で大切なのは情報量ではなく、相談内容がどう反映され、何を選び、次に何を調べるかが分かることです。完成度の高いパースを先に置くと、面積、概算、未確認条件より見た目に議論が集中します。土地購入、社内予算、設計者選定など、相手が今回決めたいことから構成を逆算します。
8ページの基本構成
| ページ | 内容 | 相手が確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 計画名、提案日、資料の位置づけ | どの時点の検討か |
| 2 | 相談内容の要約 | 要望が正しく伝わったか |
| 3 | 確認済み条件と未確認条件 | 何を根拠にしたか |
| 4 | 案Aの考え方 | 優先した条件 |
| 5 | 案Bの考え方 | 別の選択肢 |
| 6 | 比較表 | 選ぶと何が変わるか |
| 7 | 概算の範囲と除外 | 金額をどう読むか |
| 8 | 次回までの宿題と日程 | 誰が何を確認するか |
枚数は案件に合わせますが、順序は「前提、選択肢、判断材料、次の行動」とします。会社紹介や実績は、依頼者の判断に必要な範囲に絞ります。
相談内容は反映表で示す
記録例:来客動線を執務から分離したい。将来6席増やしたい。会議室2室は同時利用が少ない。総事業費の範囲は未決定。測量図は未受領。
| 要望 | 案への反映 | 調整余地 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 来客動線の分離 | 受付から会議室を直結 | 受付面積と調整 | 来客頻度 |
| 将来6席増 | 家具配置に余白 | 収納量と調整 | 増員時期 |
| 会議室2室 | 可動間仕切り案 | 独立室にも変更可 | 同時利用頻度 |
| 予算 | 対象範囲表を提示 | 次回確定 | 外構・什器の扱い |
この表があると、顧客は図面のどこを見ればよいか分かります。反映できなかった希望も隠さず、理由と代替案を示します。
比較案は優劣ではなく交換条件を示す
| 比較軸 | 案A | 案B |
|---|---|---|
| 重視すること | 来客と執務の分離 | 執務面積と将来増席 |
| 得られる利点 | 案内が簡潔 | 席配置に余裕 |
| 調整が必要 | 共用部が増える | 来客動線が一部近接 |
| 概算への影響 | 造作範囲を確認 | 家具計画を確認 |
| 次の質問 | 受付利用人数 | 増員時期 |
評価軸は両案で統一します。案Aだけ利点を詳しく書くと、比較ではなく誘導になります。推奨案がある場合は、相談時の優先順位と結び付けて理由を書きます。
概算ページに必ず置く情報
日建連は、企画設計や基本計画の初期段階では提示資料不足などによりコストの妥当性判断が難しい場合があると説明しています。金額を大きく見せるだけでなく、算定時点、参照資料、含む工事、除外項目、未確認条件、価格の更新条件を同じページに置きます。
概算例の表題は「概算工事費」なのか「総事業費の検討枠」なのかを明確にします。土地、設計監理、申請、解体、外構、設備、什器、移転、税の扱いを並べ、空欄をゼロと誤読させません。確定見積ではないことを示し、条件変更時に更新します。
図・パース・文章の役割を分ける
平面図は動線と面積、パースは素材や雰囲気、文章は選択理由と未確認事項を伝えます。パースだけで寸法や仕様を約束しません。図には版、縮尺の扱い、方位、検討用の注記を付けます。顧客がスマートフォンで読む場合も考え、一ページ一論点、見出し、結論、図、注記の順にします。
送付前チェック表
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 目的 | 今回決めたいことが冒頭にある |
| 要望 | ヒアリング記録と一致する |
| 図面 | 面積、方位、版を照合した |
| 比較 | 評価軸が両案で同じ |
| 概算 | 範囲、除外、時点を記載した |
| 表現 | 仮定を確定事項にしていない |
| 情報 | 別案件の名称や数値が残っていない |
| 次回 | 担当、期限、成果物がある |
PattoAIのデモへ渡す資料
PattoAIの公開機能は建設会社向けの図面読取、数量積算、実行予算書、見積書作成支援です。提案資料のうち、確認済み図面、面積表、仕上表、既存の内訳書式を分けて準備すると、概算準備との適合性を確認できます。一般設計のプラン生成、法適合、確定価格を前提にしません。PattoAIの活用相談で対象図面と欲しい成果物を伝えます。
よくある質問
初回提案で案は何案必要ですか
数より、優先順位の違いを説明できることが重要です。実務では2案程度から始め、各案の利点、調整点、次の質問を同じ表で比較すると判断しやすくなります。
概算金額は資料の最初に出すべきですか
相手の判断目的によります。金額判断が中心でも、算定範囲と前提を直前に示します。数字だけが切り取られない構成にしてください。
参考資料
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読み手別に一枚目を調整する
同じ計画でも、経営者は投資判断、利用部門は使い勝手、経理は予算範囲、金融機関は事業と資金の説明を見ます。全員へ別資料を作る必要はありません。本文の事実と図は共通にし、一枚目の判断事項と最後の宿題表を会議の参加者に合わせます。
役員会向けなら「候補地の検討を継続するか」「次の調査費を承認するか」を冒頭に置きます。現場利用者向けなら「席数、収納、来客、搬入の優先順位」を置きます。資料を転送されても目的が分かるよう、表紙に提案段階と判断期限を記載します。
提案後の議事録を次版の変更表にする
提案後は感想を並べず、採用、修正、保留、追加調査に分類します。
| 区分 | 記録例 | 次の処理 |
|---|---|---|
| 採用 | 来客分離の考え方 | 維持条件へ追加 |
| 修正 | 会議室を1室へ統合 | 面積と動線を再検討 |
| 保留 | 外装素材 | 概算差とサンプルを準備 |
| 調査 | 既存設備容量 | 設備担当が確認 |
変更表には、誰の発言か、決定者は誰か、いつまでに確認するかを付けます。図面だけを更新すると、変更理由が消え、次回に同じ議論が戻ります。提案資料と議事録を案件番号と版で結び、送付済み資料を上書きしません。
印刷と画面共有の両方で確認する
会議室の画面では読めても、A4印刷やスマートフォンでは注記が読めないことがあります。PDF出力後に、ページ欠け、フォント置換、画像解像度、リンク、ファイル容量を確認します。概算の除外条件やパースの注記を小さな脚注へ押し込まず、判断に必要な本文として配置します。
送付メールには、資料名、版、今回見てほしいページ、回答してほしい期限を記載します。複数ファイルを送る場合は正本を一つ示し、古い版との取り違えを防ぎます。会議後に差し替えた場合は、変更箇所と差し替え理由を本文で伝えます。
訂正版を送付するときは、図面と概算の参照版も確認します。資料の表紙だけを更新して本文が旧条件のまま残らないよう、変更表から該当ページへ戻って照合してください。
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