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設計事務所のクラウド選び|共有と復元の比較項目

· 編集:KMC株式会社

設計事務所がクラウドを選ぶ前に、共有、権限、版履歴、復元、移行を実データで確かめる手順を解説します。

クラウドは機能表より業務場面で選ぶ

設計事務所のクラウド選びでは、容量や料金だけを並べても運用の相性は分かりません。誰が正本を更新し、外注先へどこまで見せ、誤更新からどう戻し、契約終了時に何を持ち出せるかを、実際の図面一式で確かめます。料金、上限、提供機能は変わるため、この記事では特定製品の順位を付けず、導入前の検証方法を扱います。

共有フォルダの構成を決める作業と、クラウド基盤を選ぶ作業は別です。前者は案件内の置き場所、後者は認証、権限、履歴、検索、復元、出口の能力を確認します。候補を先に決めず、困っている場面から要件へ変換します。

比較前に五つの場面を書く

業務場面確認する動作失敗した場合の影響
所内で図面を更新同時編集、競合、ロック、通知更新の上書きや二重作業
外注へ資料を渡す閲覧と編集の分離、期限、再共有機密漏えい、旧版で作業
現場でPDFを見る端末、回線、オフライン時の扱い必要な図面を開けない
誤削除から戻す版履歴、ごみ箱、管理者復元作業成果や判断記録の消失
契約を終了する一括取得、形式、権限記録資料を別環境へ移せない

各場面に「頻度」「利用者」「ファイル量」「許容できない失敗」を足します。大容量BIMが中心の事務所と、PDFを社外共有することが多い事務所では優先順位が異なります。一般的な評価点をそのまま採用せず、自社の上位三場面に重みを付けます。

比較表は可否と証拠を残す

比較項目合格条件の例確認証拠
認証退職者を一か所で停止できる管理画面の操作記録
共有権限社外を閲覧専用にできる検証用アカウントの画面
版の復元指定版を別名で戻せる復元前後の版と日時
検索案件番号と図面名で発見できる検索語と結果件数
同期競合同名更新の結果が判別できる二端末の試験記録
出口必要な形式と階層で取得できる書き出した検証一式

「できる」と書くだけでは、契約プラン、管理者設定、ファイル形式、端末により条件が変わります。公式ヘルプのURLと確認日、試した契約、設定値を一行に残します。営業説明と実機結果が異なる場合は、結果を優先し、問い合わせ番号も記録します。

小さな案件で導入試験をする

本番移行前に、完了済みの架空化した案件か、機密性の低い検証用資料を使います。CAD、BIM、PDF、画像、表計算、長いファイル名、外部参照を含む小さな一式を用意します。

  1. 管理者、所内編集者、社外閲覧者の三アカウントを作ります。
  2. 案件一式を登録し、フォルダ階層と更新日時を控えます。
  3. 二人が同じファイルを更新し、競合時の挙動を確認します。
  4. 社外閲覧者で、見える範囲と再共有の可否を確認します。
  5. ファイルを誤削除した想定で、別の検証場所へ復元します。
  6. 全データを書き出し、階層、名前、属性、コメントを照合します。

試験に本物の顧客情報を入れる必要はありません。図面サイズや参照関係だけを再現した検証データに置き換えます。端末へ同期する場合は、ローカル容量と通信時間も記録します。

検証記録の具体例

試験ID:CLD-02

場面:設備外注へ発行済みPDF三枚を七日間共有

条件:外注用アカウントは閲覧のみ、案件内の議事録は非表示

操作:共有、別ブラウザーで閲覧、URL転送、期限後アクセス、管理者解除

合格条件:対象PDFだけを閲覧でき、期限後と解除後は開けない。操作日時を管理者が確認できる

結果欄:合否、画面記録、想定外の動作、採否への影響、再試験日

これは運用設計の例であり、どのサービスでも同じ結果になることを示しません。Googleの共有ドライブではファイルが個人ではなくチームに属する仕組みが案内されています。MicrosoftもOneDriveとSharePointの共有と権限管理を公式に説明しています。採用時は自社契約の公式説明と実機を照合します。

試験結果には確認した日も残します。

復元とバックアップを混同しない

版履歴やごみ箱は便利ですが、保持条件や管理者操作の影響が製品で異なります。障害、アカウント侵害、サービス終了を含む想定に対して、クラウド内の復元だけで足りるかを判断します。独立したコピーと復元試験は設計事務所のバックアップで別に設計します。

復元試験では、最新だけでなく指定した過去版を選び、元の場所へ上書きせず隔離先へ戻します。CADやBIMはファイルが開くか、外部参照が解決するか、PDFは枚数と発行版が合うかまで確認します。

移行は二段階で止められるようにする

最初に完了案件を複製し、次に進行中の一案件だけを切り替えます。旧環境は閲覧専用期間を置き、移行基準日、正本、差分反映の担当を掲示します。両方を編集可能にすると、新旧のどちらが正しいか分からなくなります。

移行当日は、基準時刻より前のデータ件数と移行後の件数を照合し、代表ファイルを開きます。差分が出たら、未同期、除外設定、権限不足の順に切り分け、移行先で新規更新を始める前に解消します。

中止条件も先に決めます。外部参照が一定数解決しない、社外権限を限定できない、復元試験に失敗した場合は、全社移行を止めて原因を直します。中止は失敗ではなく、顧客案件へ広げないための管理です。

よくある失敗と対処

無料試用で管理者機能を確認しない、最速の回線だけで試す、代表的でない小さなPDFだけを使う、といった失敗があります。実際に重い形式、遅い回線、社外アカウント、退職者停止まで試します。評価担当者だけが操作できる状態も避け、日常の担当者が手順書だけで共有解除と復元を実施します。

比較表へ点数を付ける場合も、根拠URLや試験記録のない点は空欄にします。価格は税、容量、人数、追加機能、解約条件を同じ基準日に確認し、この記事の固定値を使わないでください。

よくある質問

容量単価が安いサービスを選べばよいですか

容量は一項目です。権限、復元、検索、対応形式、運用工数、退出時の取得まで含めて比較します。

CADやBIMの共同作業ができるかはどう確かめますか

対象ソフト、版、参照方式を固定し、二端末で競合と参照切れを試します。一般的なクラウド保存と専用共同作業機能を同じものとして扱いません。

社外共有はリンクだけで十分ですか

受信者確認、権限、期限、再共有、解除後の挙動を検証します。設計資料の共有権限も参照してください。

AI機能も選定項目に入れますか

業務目的がある場合だけ、入力データの扱い、出典表示、確認工程を評価します。設計事務所のAI情報管理と整合させます。

全案件を一度に移行してよいですか

完了案件と一つの進行案件で試し、復元と出口を確認してから段階的に進めます。

出典・参考資料

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