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案件・工程管理

設計事務所の工数管理|記録項目と集計の手順

· 編集:KMC株式会社

設計事務所の工数管理を、設計段階、作業区分、追加対応、待ち時間に分けて記録する方法を解説します。勤怠と案件工数を混同せず、次の見積・配員へ使う集計手順です。

工数管理は長時間働いた人を探すためだけに行わない

設計事務所で工数を記録する目的は、案件と段階ごとに、どの作業へ時間が使われたかを把握することです。基本設計の作図が増えたのか、顧客要望の変更で再検討が発生したのか、資料探索や社内確認で滞留したのかを分けると、次回の業務範囲、工程、配員を見直せます。

ここで扱う案件工数は、労働時間の法的な把握や賃金計算と同じものではありません。勤怠は適用される法令、就業規則、契約、客観的記録に基づいて適切に管理します。案件工数表だけで勤怠管理を代替せず、両者に大きな差がある場合は入力漏れ、共通業務、移動、研修などの理由を確認します。

記録する七項目

項目目的記入例
日付作業した時点を追う2026-10-13
案件ID案件名変更や類似名を区別S-026
設計段階集計の単位をそろえる基本計画
作業区分何に時間を使ったか顧客打合せ、作図、分野調整
時間実際に費やした時間開始・終了または時間数
対応種別通常、追加、手戻り、社内改善追加要望対応
短いメモ増減理由を後で読めるようにする会議室条件変更で2案を再比較

作業メモは日報のような長文にしません。「図面作成」だけでは原因を分析できないため、成果物と変更理由が分かる一文にします。個人名や顧客情報を工数分析に不要な範囲まで複製しないことも重要です。

設計段階と作業区分を二層にする

段階と作業を一つの選択肢にすると、「基本設計作図」「実施設計作図」「基本設計打合せ」のように項目が増え続けます。二層に分ければ、段階別にも作業別にも集計できます。

設計段階の例作業区分の例
相談・受任前相談受付、面談、提案準備
企画・基本計画調査、案作成、概算整理
基本設計作図、分野調整、顧客説明
実施設計詳細作図、整合確認、申請関連
見積・発注質疑回答、見積比較、調整
工事監理定例、図書確認、現場記録
完了・保存引渡し、精算、アーカイブ

名称は自社の契約と業務に合わせます。段階を細分化しすぎず、同じ案件で担当者が異なっても選べる定義を添えます。

通常作業・追加対応・手戻りを分ける

時間が増えた理由をすべて「設計が難しかった」でまとめると、改善できません。対応種別を少なく定義します。

対応種別判定の考え方メモする内容
通常合意した業務範囲と予定した確認成果物と段階
追加対応合意後に範囲や要望が加わった依頼日、追加内容、合意状況
手戻り入力不足、版違い、確認漏れなどで再作業原因と再発防止
外部変更行政・協力者・調達等の回答で再検討回答元と影響
社内改善テンプレート、標準、教育を整備再利用先

追加対応を自動的に顧客責任とみなさず、依頼内容と自社の業務範囲を案件責任者が確認します。法的・契約的な追加業務の扱いは個別契約に基づいて判断し、工数表の分類だけで決めません。

記録を定着させる手順

1. 集計目的を一つ決める

最初は「基本設計の予定と実績を比べる」「追加要望の再検討時間を把握する」など、一つの問いを決めます。目的に使わない細かな分類を増やすと入力が止まります。

2. 分類表と記入例を作る

同じ会議でも、顧客打合せ、社内調整、外部協力者調整をどう分けるか例を置きます。迷ったときの仮置き区分と、分類の質問先も決めます。

3. 日次で短く記録する

週末に思い出して配分すると、短い作業や切替が抜けます。作業終了時または一日の終わりに記録し、修正した場合は元の値を追えるようにします。

4. 案件責任者が週次で異常だけを見る

全行を読み上げず、未分類、大きな予定差、追加対応の未確認、同じ手戻り理由の反復を抽出します。入力者を問い詰める場にせず、工程や資料の問題を見つけます。

5. 段階終了時に予定との差を説明する

合計時間だけでなく、当初予定、実績、差が出た区分、次回変えることを一枚にします。実績を次の案件へそのまま標準値として使わず、用途、規模、体制、成果物、変更の多さが近いかを確認します。

記入例

日付案件段階作業時間種別メモ
10月13日S-026基本計画顧客打合せ実績を記録通常必要席数と来客動線を確認
10月13日S-026基本計画案作成実績を記録追加対応会議室同時利用条件の変更で比較案を更新
10月13日S-026基本計画資料探索実績を記録手戻り測量図の保存先が不明、資料台帳を修正

記事上で架空の時間数や削減率は示しません。自社の実績を記録して初めて、予定との差と改善効果を判断できます。

集計は四つの順で見る

段階別

基本計画、基本設計、実施設計など、どの段階で予定差が出たかを見ます。案件の難しさだけでなく、契約範囲と成果物の定義が曖昧でなかったか確認します。

作業区分別

作図、打合せ、分野調整、確認、資料探索などへ分けます。作図時間だけを減らしても、確認待ちや転記が残れば全体の期間は短くなりません。

対応種別

追加対応や手戻りが繰り返す区分を見ます。ヒアリング不足なら受付項目、版違いなら資料受領、承認集中なら役割分担を見直します。

担当別

人の優劣を付けるためではなく、一人へ判断や特定作業が集中していないかを見ます。経験差、担当範囲、兼務、支援した時間を無視して単純比較しません。

待ち時間と作業時間を分ける

作業が30分でも、回答待ちで五日止まることがあります。工数は実作業時間、工程管理では開始から受渡しまでの期間を扱います。デジタル庁の実践ガイドも、実際の処理に要する「時間」と、開始から終了までの「期間」を区別して滞留を見る考え方を示しています。

待ち時間を担当者の工数として入力せず、工程管理の外部回答待ちへ記録します。逆に、待っている間に行った代替案の検討は実作業として記録します。

AI・ツール導入の評価へ使う

AIや新しいソフトを試す前に、入力準備、処理、修正、確認、出力整形までの現状工数を測ります。処理ボタンを押してから結果が出る時間だけでは比較できません。AI導入デモの準備で扱うように、正解成果物と合格条件を用意し、導入後も同じ範囲を測ります。

自動で取得した時間にも、アプリを開いていただけ、複数作業を並行した、会議をしながら作図したなどの誤差があります。精密さを装うより、記録方法と除外条件をそろえます。

失敗を防ぐ具体策

失敗防止策
分類が多すぎて入力されない段階、作業、対応種別の三層に絞る
週末にまとめて思い出す日次入力と未入力通知を置く
工数を人事評価へ直結する工程改善の目的と閲覧範囲を明示
勤怠との差を無視する共通業務、休憩、移動等の扱いを確認
追加対応を勝手に請求判断する契約と責任者の確認へ戻す
実績平均を次回へそのまま使う案件条件と成果物の差を並べる

よくある質問

何分単位で記録すればよいですか

事務所の目的と入力負担で決めます。細かくして推測入力が増えるより、記録方法をそろえ、短い作業のまとめ方を定義する方が重要です。

会議時間は参加者全員に計上しますか

案件工数を人時で見るなら各参加者の実作業として記録します。会議の価値を参加人数だけで判断せず、目的、決定、参加が必要だった役割も振り返ります。

移動時間はどの案件へ入れますか

案件に直接必要な移動か、共通業務かを社内ルールで決めます。勤怠上の労働時間に当たるかは、働き方の実態と法令に基づいて個別に確認してください。

予定を超えた工数は失敗ですか

追加要望、調査結果、品質確保のための検討など、必要な増加もあります。差の理由を分類し、業務範囲、工程、次回見積へ反映できたかで判断します。

記録は誰が見られるようにしますか

入力者、案件責任者、経営管理など目的に必要な範囲を決めます。個人比較や人事利用を行う場合は、評価基準、閲覧権限、説明方法を別途整備します。

一次資料で確認できること

上記は労働時間把握と業務量分析の一次資料です。本記事の七項目、対応種別、集計順は案件採算と工程改善に使うための実務提案です。勤怠、賃金、労務上の判断は適用法令と専門家・所管機関の確認を優先してください。

デジタル庁の資料は政府の業務改革・情報システム管理を対象とする参考資料です。設計事務所の業務量表や標準手順は本記事の独自提案であり、同庁の設計業務向け標準や効果保証を意味しません。

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