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概算・コスト

設計スケジュールの見積もり|待ち時間を分ける

· 編集:KMC株式会社

設計スケジュールを作業時間、顧客回答、外部調整、審査期間に分けて見積もる方法を解説。成果物起点の工程表と判断分岐を掲載します。

作業時間と経過日数を分ける

設計担当者が10日分作業するから、10日後に提出できるとは限りません。顧客の回答、測量や調査、構造・設備の検討、行政照会、社内レビューには、それぞれ順序と待ち時間があります。作業工数とカレンダー上の期間を同じ数字にすると、回答が遅れたときの影響を説明できません。

スケジュール見積では、成果物、作業、依存先、回答期限、レビュー日、予備日を分けます。行政の審査日数を一律に断定せず、対象手続と提出時点で確認します。

4種類の時間

種類例管理方法
作業時間作図、調整、資料編集担当と工数を積上げ
内部待ち社内レビュー、承認確認者と日を予約
外部待ち顧客回答、外注成果回答期限と代替判断
制度上の期間相談、申請、審査個別に最新情報を確認

外部待ち中に別作業を進められる場合と、回答がないと進められない場合を区別します。回答待ちを担当者の工数へ足さず、提出日の依存条件として工程表へ置きます。

成果物起点の工程表

成果物先行条件担当作業確認者回答・待ち完了条件
平面比較案要望表、敷地資料案作成、面積確認主任設備条件回答2案レビュー済み
概算条件表比較案、仕様仮定範囲・除外整理担当責任者外注照会図面版と一致
説明資料上記2点編集、注記案件責任者顧客会議日提出PDF固定

日付を置く前に依存関係を書きます。説明資料を平面確定前に完成予定へ置くと、図面変更のたびに作り直しになります。成果物の完了条件は「着手」「作成中」ではなく、誰の確認まで終わるかを示します。

見積手順

  1. 最終提出日と、その日に必要な成果物を確認する。
  2. 成果物を作業とレビューへ分解し、工数を見積もる。
  3. 必要な入力資料と外部回答を前段へ置く。
  4. 担当者の同時並行案件と休業日を確認する。
  5. 外注・行政の予定は相手へ確認し、未確認と確定を分ける。
  6. 遅れた場合の分岐と、日程を更新する時点を決める。

国土交通省の「建築設計業務委託の進め方」は公共建築の発注者向けですが、設計与条件、事前調査、設計業務に必要な期間と予算を事前に確保する重要性を示しています。民間案件へ日数を転用せず、工程を考える観点として参照します。

記入例:顧客回答で分岐する

10月20日までに席数と会議室数が確定した場合、平面2案を10月27日に社内レビューし、10月30日に説明資料を提出する。回答が遅れた場合、仮定条件で比較を続けるか、提出日を見直すかを10月21日に協議する。設備容量の確認は別経路で進め、未回答部分は概算条件表へ未確定と記載する。

「回答が遅れたら全体も遅れる」とだけ書かず、どの作業が止まり、どれを進められるかを示します。仮定で進める場合は、後から再作業が発生する可能性も説明します。

判断分岐:希望納期へ収まるか

  • 作業工数とレビュー枠が確保できるなら、通常工程を提示する。
  • 回答期限が未設定なら、提出日を確定せず回答期限を先に合意する。
  • 外注や行政の期間が未確認なら、確認中として範囲表示する。
  • 工数は足りても同じ確認者へ作業が集中するなら、レビュー順を調整する。
  • 納期短縮を求められたら、成果物削減、段階提出、体制追加の影響を比較する。
  • 品質確認を省かないと間に合わない場合は、納期か範囲を協議する。

工程変更の履歴

工程表を上書きすると、遅れの理由が分かりません。基準版、変更日、変更理由、影響する成果物、新しい提出日、合意者を残します。変更理由は「都合」ではなく、「席数回答が10月20日から10月24日へ変更」のように事実を書きます。

版変更理由影響合意
V1契約時工程基準契約記録
V2顧客回答日変更平面レビューと提出日確認メール
V3追加案合意作図、比較、概算更新CHG番号

実行中の進捗管理は設計事務所の工程管理で扱います。本記事は受託前・変更時に期間を見積もる役割に絞ります。

逆算と順算を突き合わせる

希望提出日から逆算した工程だけでは、必要な作業を削ってしまうことがあります。成果物から作業と依存関係を積み上げる順算も作り、両方を比較します。

確認逆算で見ること順算で見ること
期限最終判断日、提出日各成果物の完成可能日
入力いつまでに必要か受領後に何を開始できるか
レビュー予約可能な日指摘反映に必要な日
外部回答回答期限遅れた場合に止まる作業

逆算した開始日がすでに過ぎている、または順算した完成日が希望日を越えるなら、その差を隠しません。成果物を段階提出する、比較案数を見直す、先行調査を分けるなど、判断できる選択肢を提示します。

複数案件を同時に抱える場合

担当者の総工数が空いていても、同じ日にレビューや提出が集中すれば工程は成立しません。案件ごとの作業を週単位で重ね、責任者、構造・設備担当、PDF確認者など共有する役割の負荷を確認します。

記入例:案件Aの平面レビューと案件Bの実施設計レビューが同じ水曜日に集中。主任の確認枠を確保できないため、案件Aは火曜までに作成者確認を終え、木曜に主任レビューへ変更。顧客提出日は回答待ちの影響を含めて再提示する。

単に担当を追加する場合も、引継ぎと情報共有の時間を入れます。新しい担当者が直ちに同じ速度で並行できると仮定しません。

回答期限の決め方

顧客へ「早めにお願いします」と伝えるのではなく、回答が必要な項目、回答者、期限、遅れた場合に影響する成果物を書きます。複数の質問を一括で待つ必要がなければ、平面に必要な回答と設備概算に必要な回答を分けます。

回答項目回答者期限影響する作業期限後の扱い
席数運営責任者日付を記入平面2案仮定で進めるか協議
設備要求設備担当日付を記入概算条件表未確定表示
承認者施主窓口日付を記入提出会議会議日再調整

回答を受けたら受領日と内容を残し、工程表のどの版へ反映したかを記録します。

提出日より前の社内締切

顧客提出日を作業完了日にすると、PDF不具合や指摘反映の時間がありません。作成完了、社内レビュー、修正完了、提出版固定を別日に置きます。図面、面積表、概算条件の版をそろえた後に説明資料を出力し、リンクや個人情報も確認します。

AIで工程案を作る場合

AIは作業候補と依存関係の下書きに使えますが、行政期間、担当者の空き、外注回答を知っているとは限りません。間取りAIの初期提案のように出力を検討条件として扱い、実在する担当者と期限を人が確認します。

よくある質問

審査期間は何日で見ればよいですか

手続、提出先、案件条件で異なります。最新の案内と個別相談で確認し、未確認の日数を確定値にしません。

顧客回答の予備日はどのくらい必要ですか

一律日数を置かず、回答者、会議日、社内承認経路を確認します。期限を超えたときの分岐も決めます。

工数を増やせば納期を半分にできますか

作業の依存関係、情報共有、レビュー可能日があるため比例しません。並行可能な作業を確認します。

工程表は誰が更新しますか

案件責任者と更新権限を決め、担当者が個別の日程を勝手に変えないようにします。変更履歴を残します。

回答待ちの間は工数ゼロですか

待機自体と、催促、仮定整理、再開時の確認は分けます。実際に行った作業だけ工数へ記録します。

参考資料

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