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概算・コスト

設計の追加業務|依頼内容と対応工数を記録する

· 編集:KMC株式会社

設計中の追加依頼を、当初範囲との差、成果物、工数、納期への影響で整理する方法を解説。合意前着手を防ぐ受付表と判断分岐を掲載します。

追加業務は依頼を受けた瞬間に確定しない

設計中には、案の追加、用途条件の変更、行政照会への追加資料、模型やパースの作成などが発生します。依頼を聞いてすぐ作業へ入ると、当初範囲に含む修正か、新たな成果物を伴う追加業務かを後から説明できません。

追加業務の管理では、金額の前に「何が変わったか」を記録します。依頼文、当初契約との差、必要な作業、他成果物への波及、工数、納期、合意状態を一つの受付番号で結びます。顧客の要望を断る仕組みではなく、判断材料をそろえて合意する仕組みです。

追加依頼受付表

項目記入例
受付番号CHG-07
受付日・依頼者2026-10-13、施主担当者
依頼内容会議室を1室追加した平面案を比較したい
当初範囲との差合意済み2案とは別の第3案
影響する成果物平面、面積表、比較表、概算条件
確認が必要な相手構造担当、設備担当、運営部門
想定作業条件整理、作図、整合、社内レビュー、説明
日程影響次回会議までに完了可能か要確認
状態見積・日程提示前、未着手

「第3案を一枚描く」とだけ書くと、面積表や概算条件の更新を落とします。変更を受ける成果物を横に広げて確認します。前提が変わらない単純訂正と、判断をやり直す設計変更も分けます。

4種類に分類する

分類例扱い
訂正設計者側の記載誤りを修正当初業務として是正
範囲内調整合意した案の通常の調整契約範囲と回数を確認
追加成果物追加案、追加パース、模型工数と条件を提示して協議
条件変更用途、面積、敷地、納期の変更影響範囲を再評価

分類名だけで有償・無償を自動決定しません。契約内容、変更理由、責任関係を確認します。国土交通省の建築設計業務等変更ガイドライン(案)は、国の建築設計・工事監理業務の委託契約を対象とし、当初示していない積算や模型の追加、条件変更、一時中止、履行期間変更などを整理しています。民間案件では契約条項に合わせ、変更手続の参考として使います。

受付から合意までの手順

  1. 依頼を原文で残し、口頭なら確認メモを送る。
  2. 当初の業務範囲表と成果物一覧を開き、差を特定する。
  3. 直接作業だけでなく、関連図、概算、外注、レビューへの影響を確認する。
  4. 担当別に工数を見積もり、通常業務との競合を確認する。
  5. 金額、納期、成果物、前提、着手条件を提示する。
  6. 合意記録へ番号を付け、着手可へ状態を変更する。
  7. 完了後、提出版と実績工数を同じ番号へ記録する。

依頼を受けた担当者と承認者を分けます。担当者が善意で先行すると、外注や他案件の予定まで崩れるためです。安全や重大な不整合への緊急対応が必要な場合は、通常の追加受付とは別に責任者へ即時連絡し、後から理由と処置を記録します。

判断分岐:着手してよいか

  • 誤記の訂正で影響が限定されるなら、責任者確認後に是正し、変更履歴を残す。
  • 当初範囲に含む調整なら、残回数や成果物を確認して進める。
  • 新しい成果物が増えるなら、工数・金額・納期の合意前は未着手にする。
  • 前提条件が変わるなら、関連図書を洗い直して再見積する。
  • 顧客側の回答待ちなら、仮定で進めるか停止するかを合意する。
  • 既に先行着手していた場合は、事実を隠さず作業記録と合意状況を責任者へ報告する。

工数は変更番号で記録する

通常業務と追加業務を同じ時間欄へ入れると、当初見積の精度を検証できません。時間記録に案件番号、工程、作業分類、変更番号を付けます。

記入例:案件A/基本設計/平面検討/CHG-07/2.0時間。会議室追加案の条件整理と動線検討。成果物作成は未着手。

「設計4時間」より、何に使ったかが追えます。変更が見送られても、検討に使った工数は消しません。次回の受付条件や、見積段階で確認すべき質問の改善に使います。

変更後に確認する一覧

確認先確認内容
図面関連する平面、立面、断面、詳細
表面積、仕上、建具、機器、概算条件
外部担当構造、設備、申請、積算への影響
説明資料比較表、採用理由、未確認事項
日程顧客回答、外注、レビュー、提出日
契約記録追加・削除・金額・請求時期

変更した図面だけを差し替えず、関連資料の整合を確認します。提出済み版は上書きせず、変更理由と新しい版を結びます。

依頼文を確認文へ変える記入例

顧客から「会議室を増やした案も早めに見たい」と連絡が来た場合、受領文だけでは条件が足りません。次のように確認文へ変えます。

ご依頼は、会議室を1室追加した比較案の作成と理解しました。既存2案に加える第3案として、平面図、面積表、動線比較、概算条件表を更新します。構造・設備担当との確認後に提出日を回答します。追加業務の範囲と見積をご確認いただいた後に着手します。既存案の修正に置き換える場合はお知らせください。

この文面では、追加案か既存案の修正かを分け、影響する成果物と着手条件を確認できます。依頼者が求めていたのが簡単な口頭検討なら、過剰な成果物を作る前に範囲を縮められます。

途中中止と再開も変更として残す

顧客回答や事業判断で業務が止まる場合、担当者の予定表から消すだけでは再開時の状態を復元できません。中止日、中止理由、完成済み成果物、未完了作業、受領待ち資料、再開条件を記録します。外注へ停止連絡したか、予約した調査や会議を取り消したかも確認します。

再開時には、当時の図面版をそのまま使えるか、法令・敷地・要求条件に変更がないかを確認し、残工数を見積もり直します。停止前の残時間をそのまま再利用せず、再確認と引継ぎの作業を含めます。

追加業務レビューで見る3件

月次レビューでは、金額の大きい案件だけでなく、合意前着手、同じ理由の繰返し、見送り後も工数が続く案件を優先します。小さな依頼が積み重なる場合、個別担当者の注意ではなく、受付表の必須項目や承認経路を直します。

AIを補助に使う場合

AIは依頼文と当初範囲の差分候補、影響する成果物のチェックリスト、顧客確認文の下書きに使えます。契約上の追加業務かどうか、金額、設計判断は担当者が決めます。ChatGPTを設計実務で使う確認手順に沿い、原文と推測を分けます。

よくある質問

軽微な変更もすべて追加受付に入れますか

社内基準で記録対象を決めます。少なくとも成果物、工数、納期のいずれかへ影響する依頼は番号を付けると追跡できます。

メールの返信を合意記録にできますか

契約で定めた方法を確認します。依頼内容、成果物、金額、納期、着手条件が読み取れる形で保存します。

顧客が急いでいる場合は先に作業してよいですか

担当者だけで判断せず、承認者と契約条件を確認します。急ぎであること自体は範囲と責任を曖昧にする理由になりません。

追加案が不採用なら工数を消しますか

消しません。検討に使った実績として残し、請求の扱いは合意条件で判断します。

変更管理は設計変更管理の記事と何が違いますか

本記事は追加業務の受付と工数・契約条件に焦点を当てます。図面や費用への変更波及は設計変更管理で詳しく扱います。

参考資料

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